桑名市こどもの権利条例の制定に向けた取り組みについて
現在、桑名市の教育福祉委員会(市議会議員で構成されています)では、小中学生との意見交換会や条例のたたき台の作成など、様々な取り組みがされています。また、市民活動団体では独自の勉強会を開催するなど、とても前向きに取り組みがされています。
私自身が、委員会の傍聴や市民活動団体の勉強会に参加させていただき、現在、感じているところを整理してみました。
1.懸念点
今、一番、懸念していることが、市民の関心の薄い中、条例策定が進められているということです。去る4月21日(日)に「子どもの権利条例制定に向けた意見交換会」という市民からの意見聴取の機会が設けられましたが、参加者は12名とのことでした。
この意見交換会の周知については、4月号の「広報くわな」に掲載されてはいますが、結果として、約14万人の人口に対して、1/10,000人以下の関心度の低さです。
前回の記事でも触れましたが、条例策定の各ステップは、市民への啓蒙の意味が大きいと思いますが、相変わらず、どの場に参加しても、顔ぶれに変化はありません。
市民が関心を示していない中、条例が出来て、はたして、その条例は守られるのでしょうか?
自分たちの街の、自分たちで作った、自分たちの条例と思えるでしょうか?
子どもたちは、学校で、それなりに情報に触れて、条例策定について知っているようですが、大人が条例を知らなくて、どのようにこどもの権利が守られるのでしょうか?
実効性の低い条例が作られても、絵に描いた餅にしかなりません。教育福祉委員会のみなさん、それぞれに、頑張られている話は、よく耳にしますが、今一度、 「子どもの権利を守る」ために何がやるべきかという原点に立ち返り、条例策定を進めていただきたいと感じています。
【参考リンク】
・桑名市議会ページ
https://www.city.kuwana.lg.jp/gikai/kodomokenrijourei.html
・桑名市「こどもの権利条例」策定検討会議の傍聴(三重こども情報局)
2.東員町「子どもの権利条例」視察
教育福祉委員会による、東員町の視察を傍聴させていただきました。
結論から書くと、とても、町民の想いがつまった条例だと感じました。
主に、良いと思ったポイントを3点ほど、挙げさせていただきます。
①子ども委員会の設置
町内の全校にメンバーを募り、25人のメンバーが集まり、21回もの会議を開催したそうです。
子ども委員会で、アンケート、前文案、条文案を作成しています。
人口約2.5万人の東員町で25人ということは、桑名市で言えば140人近くの子ども達が参加していたことになります。
条例施行後は、そんな子どもたちが、エバンジェリストとしての役割を果たし、学校への条例を広める流れにも繋がります。
条例を作る段階から、子どもの意見表明権を尊重した進め方だなと感じました。
②町全体を巻き込んだ一大イベント
条例策定の早い段階から、役場、学校、市民を、すべてを巻き込んでいたというお話でした。
条例が出来た後、運用していくのは、役場や学校等なので、行政の理解は絶対必要です。
条例を制定した年には、尾木ママを呼んで、講演会をしたそうです。
町の条例制定にかける熱意を感じるエピソードでした。
③30年先を見据えた街作り
目の前の子どもたちが大人になった時のことを考えて、条例作りを行っていたそうです。
確かに、子どもの権利が守られて当たり前の価値観で育てば、その子たちが大人になった時、子どもの権利が守られ易くなりますよね。
町長や、役場の各課の担当者の方々のお話を聞いていて、みなさん、それぞれの立場で「子どもファースト」で考えられていて、素晴らしいなと感じました。
東員町での取り組みのお話を聴かせていただいて、気になったのが、桑名市では、教育委員会や市役所の担当部署との調整が、どのように進んでいるのかということ。その辺りは、普段から、各部との調整をはかっておられる議員さん達のことなので、抜かりはないとは思いますが…。
また、市民への周知については、圧倒的に不足しているように感じます。例えば、桑名市の公式サイトから、「こどもの権利条例制定に向けて」のページにたどり着ける市民は、どれ程、いるでしょうか? 該当ページを閲覧するためには、一旦、「桑名市議会」のページに飛ぶ必要があります。今回の条例は、議員による発議となるため、その辺りに事情もあるのかも知れませんが、どのような経緯で作られる条例であれ、一旦、制定されれば、その条例は、桑名市14万人の市民に関わってきます。また、東員町の町長がお話されていたように、条例作りは、将来の街作りです。公式サイト、公式X、公式LINE、市役所、街頭など、あらゆる手段を使って、もっと発信や啓蒙があっても良いように感じますが、求めすぎでしょうか。
今回のお話をお聴きして、東員町の関係者の方々の熱意を強く感じました。
きっと、桑名市教育福祉委員会の条例策定議員の方々も同じ想いの方も多いものと推察します。
今後の取り組みに、どのように反映されるのか、楽しみで仕方ありません。
条例は、市の法律です。こういう機会に立ち会える機会は、なかなかないと思います。教育福祉委員会の議員さん達も、試行錯誤を重ねながら、一所懸命に取り組まれています。ぜひ、桑名市民の方には、関心を持って経緯を見守っていただけたらなと思います。
また、現在の桑名市の取り組みは、今後、少なからず、他の市町にも影響するものと思われます。
多くの方に知っていただくためにも、シェアのご協力を、よろしくお願いいたします。
【参考リンク】
・東員町子どもの権利条例
https://www.town.toin.lg.jp/soshiki/1009/1/4/429.html
子ども用から大人用まで、4種類の条例の概要版の他、「広報とういん」での特集ページも掲載されています。
前文の「そ の 昔 、 山 上 憶 良は…」で始まる一節も、子どもたちの希望により、採用されたそうです。
・「東員町子ども2,213人分の声」の報告書
https://www.town.toin.lg.jp/soshiki/1016/3/3/220.html
条例制定に携わった組織やアンケートの詳細まで、詳しく掲載されています。
・「広報とういん」2023年11月号
https://www.town.toin.lg.jp/material/files/group/1/202311_38290880.pdf
11月20日は「とういん子どもの権利の日」として制定されており、広報で大きく掲載されています。
・尾木ママのブログ
https://ameblo.jp/oginaoki/entry-11917439852.html
「三重県東員町は子どもを本気で大事に大事にしてます♪
子ども参加者一杯です」
と、紹介されてました。